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校長室の窓から〜『富岳の眺め』No.192

公開日
2021/09/03
更新日
2021/09/04

校長室より

No.192【片翼の小さな飛行機】

パラリンピック開会式は
一つの物語で構成されていた。

「片翼の小さな飛行機」

車椅子の少女が演じる
片翼だけの飛行機。
飛び立つ勇気が持てず、
ためらう姿が表現される。

その片翼の飛行機の前に
突然現れた華やかなトラック。
トラックの中で奏でられる音楽、
そしてその音楽に合わせて
鼓舞する仲間たちの姿を見て
少しずつ勇気が湧(わ)いてくる。

片翼の飛行機は
多くの仲間たちに支えられ
滑走路へと向かって行く・・・

🛫

パラリンピック競技を通じて
私は数多くの配慮や工夫を
新たに学ぶことができた。

手足に麻痺があるボッチャ選手は
ランプと呼ばれる補助具を使い
ボールを正確に転がしていく。

視覚障がいのランナーを
目の役割を担う伴走者が支える。
決してランナーの前を走ったり、
リードすることはせずに。

自転車競技では
障がいの種類や程度に応じて
機能的に工夫された
多様な自転車が用意されている。

各競技をテレビ観戦しながら
「障がいを乗り越えて」ではなく
「障がいを受け容れて」はじめて
次の一歩が踏み出せるのだと感じた。



『WE HAVE WINGS』
パラリンピック開会式のテーマ。

飛行機は片翼だけでは
空を飛ぶことは難しい。
しかしもう片方の翼の役割を
様々な配慮や工夫、
そして仲間たちが担ったとしたら
空を飛べる可能性が広がっていく。

夜空に向かって飛び立っていく
片翼の小さな飛行機。

どんな飛び方だっていい。
いや、たとえ飛べなくても
飛び立とうとするその勇気こそが
新たな挑戦への一歩なのかもしれない。