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校長室の窓から〜『富岳の眺め』No.222

公開日
2022/03/27
更新日
2022/03/27

校長室より

No.222【失敗があったからこそ】

失敗続きの教員生活だった。

授業が上手くいかない。
学級がまとまらない。
部活動の部員と関係が築けない。

決して胸を張れる教員生活ではなかった。
未熟な私が関わったことにより、
傷つけてしまった生徒は数え切れない。
その生徒たちの多くは
再び私に笑顔を見せることはなかった。

眠れない日々は何回あったろう。
現実から逃げ出しそうになる
弱気な自分にも向き合ってきた。
それでも多くの方々の助けがあり、
もう一日だけ頑張ってみようと
自分を奮い立たせてきた。
そのもう一日が積み重なって
気がつけば38年の歳月が流れた。

🏫

4年前『富岳の眺め』を書き始めた時、
心に決めた事があった。
寄り添うことができなかった
かつての生徒たちとの思い出を
エピソードとして取り上げようと。
それは想像以上に苦しい作業だった。
当時の日誌を読み返しながら
その記憶の詳細を呼び起こすことで
私は再び後悔の念に苛まれていったのだ。

なぜあの時、もうひと声を
かけてあげられなかったのか、
後悔しても後悔しきれない。

それでも書くことを通じて
私のかつての失敗を
失敗として終わらせるのではなく、
私の失敗を通じて
同じ失敗を繰り返さないよう
次の世代へと向けて
メッセージを込めてきた。

今、改めて振り返ると
私が生徒に「教えて」きたのではなく、
私が生徒から「教わって」きた、
そんな38年間だったように思う。

🗻

3年前の卒業生たちが
進路が決まったと報告に来てくれる。
その中の一人の生徒が
4年前の最初の始業式で
私が生徒たちに語った言葉を
今も覚えていると話した。

その時々は苦しかったけれど
今、振り返ってみると
その苦しかった日々を
今では笑って話せるようになったと、
私にそう話をしてくれたのだ。

この『富岳の眺め』No.1でも紹介した
その時の言葉を再び紹介して
『富岳の眺め』を閉じることにする。

 人生は
 クローズアップで見ると悲劇だが
 ロングショットで見ると喜劇である
 
  チャールズ・チャップリン

4年間『富岳の眺め』をご覧いただき
誠にありがとうございました。