価値体系の構築
- 公開日
- 2022/07/11
- 更新日
- 2022/07/11
校長室より
土曜日は、学校運営委員会、学校協議会の皆様、会へのご参加、ありがとうございました。
また、保護者の皆様、災害時引渡訓練へのご協力、ありがとうございました。
いよいよ夏休みまで10日。
期末考査も終わり、生徒は解放された気持ちになっているところでしょうか。
さて、中学生の時期、心や体の成長には差があります。
中学校3年間、『自己を見つめる』ということに、はっきりとイメージを持てる生徒もいれば、漠然とさえ持てない生徒もいます。
はっきりイメージを持っている生徒は、長い期間・短い期間の両方の視点を、ある程度身に付けているように見えます。一方、イメージの持てない生徒は、自分という人間が余りにも近すぎて(大きな建物に近づきすぎると建物全体が見えず、どんな建物かわからないのと同じように)自分の全体像を捉えられないことが多いようです。
学校では、そのようなイメージを持てない生徒にも、ビジョンを持たせたいと考えています。それがキャリア教育です。
先週土曜日、1年生では「職業調べの発表会」、2年生では「地域の方を招いての職業講話」、3年生では「卒業生の話を聞く会」を開きました。
本校のキャリア教育の一環で実施したものです。
キャリア教育は、自分の生き方に関する自分なりの理想の「価値体系」を作り上げる作業とも言えるかもしれません。
自分の理想の価値体系が、社会の価値体系と異なることがあります。これにイライラを感じるのが「反抗期」です。保護者の方の言っていることや考え方が、自分の中にできあがりつつある価値観と異なるために「カチン」とくる(例えば『勉強しなさい』と親に言われても、親が勉強をしている姿を見たことが無いので、「自分はやっていないくせに」「自分のことを棚に上げて」と思って腹を立てる)というのもこの現象です。でも、徐々にその価値観のすり合わせや解釈ができるようになると、反抗期は収まっていきます。
「反抗期」と「わがまま」は別の問題です。「価値体系によるのか」「その時のその場の感情によるのか」といった差があります。「自分なりの根拠」と「感情」の違い、と言えるかもしれません。
砧中では、生徒の価値体系の構築のために、生徒にいろいろな経験を、と考えています。
学校は、素直で従順な生徒ばかりを望んでいるのではありません。
いろいろな部分で悩んだり苦しんだり、周囲も含めた全ての人にとってプラスになるものを考えたりしていく生徒、言い換えれば、他人(大人も含む)と価値体系が異なっても、それをしっかりとした言葉で発話し、相手の立場や価値体系を受けとめて、協働して物事を進められる生徒、Win-WInの関係をつくり出せる生徒こそが、将来大切だと思っています。
「自主・自律」「協働・共生」「創造・挑戦」がその視点です。
だからこそ、学校の教員・保護者・地域の大人が、「現在の生徒の課題は何か」「教員(保護者・地域)が取り組むべきことは何か」「どんなところに支援が必要か」と考え、生徒を支えていく砧中でありたい、そう願っています。
校長 大坂 崇
校長室だより21