校長室の窓から〜『富岳の眺め』 No.9
- 公開日
- 2018/05/06
- 更新日
- 2018/05/07
校長室より
宮下奈都「羊と鋼の森」。
図書委員からお薦め本を尋ねられ、
数冊から悩んだ末に選んだ一冊。
駆け出しのピアノ調律師の成長物語。
天才的な先輩に憧れて、
調律師の世界に飛び込んだ主人公、外村。
音楽の素養もない彼は、
当然技術の面で先輩たちには及ばない。
客からは別の調律師に替わるよう言われ、
自分には才能がないのでは、と自信を失う。
社会人1年目の頃の自分を思い出した。
誰もが通る道。
あるのかないのかも
わからない才能。
そんな漠然としたものに振り回される若者。
才能がなくたって立ち向かわなければならない現実。
悩む外村に先輩が言葉を贈る。
「才能っていうのはさ、
ものすごく好きだっていう気持ちなんじゃないか」
⭐ ⭐ ⭐ ⭐ ⭐
少し気持ちが沈んだ時に、
自分に自信が持てなくなった時に、
読み返してみたくなる一冊。
本の中に、自分と同じように悩む外村がいる。
そして、自分を見守ってくれる人たちが必ずいる。
※「羊と鋼の森」の単行本は図書室で貸し出しております。