校長室の窓から〜『富岳の眺め』 No.17
- 公開日
- 2018/06/06
- 更新日
- 2018/06/06
校長室より
日曜日、障害者者支援のイベントに参加した。
会場で見かけた馬運搬用のトラック。
トラックに書かれた乗馬団体の名称、
私にはその名称に見覚えがあった。
30数年前、大学生の私は学生スタッフとして
その団体に所属していた。
長野県の蓼科や福島県の相馬、そして都内各所で
その団体は牧場を経営していた。
休みを利用してキャンプに参加する子どもたちに
私は学生チーフとして、乗馬や登山などの指導をしていた。
その場にいたスタッフに、懐かしさのあまり思わず話しかけた。
当時共に活動した仲間たちのことも話題に出した。
すると、スタッフは驚いたような顔をした。
「今日も来てますよ。」
なんと、当時の仲間たちは牧場長などの主要メンバーとなっていた。
そして奇跡的な再会!!
30数年の時を経て、みんな歳相応にはなったとはいえ
熱き青春の思いは何一つ変わっていなかった。
キャンプに参加していたのは
乗馬に慣れ親しんだ子どもたちだけではない。
初めて馬に接する子どもたちもいた。
学校で人間関係に悩む子どもたちもいた。
馬に触れず、気後れする子どもたちに
どうやって一歩踏み出させるか、深夜まで議論した。
牧場近くの林の中での遠乗り。
出発するまでは、不安で泣いていた子どもが
牧場まで戻ってくると、いとおしそうに馬を撫でていた。
そして馬からエネルギーをもらったかのように、
生き生きとした表情でキャンプを去っていく。
当時はまだ「ホースセラピー」という言葉も無かった。
そんな子どもたちの姿を見たくて
私は、休みになるたびに牧場に泊まり込んだ。
ある時は9泊10日の八ヶ岳縦走キャンプを敢行し、
ある時は有名な「相馬野馬追い」を見学に行った。
決して忘れることのできない日々。
この活動こそが教職の道へと私の進路を方向づけた。
学生スタッフの合言葉
『明るく タフで 骨惜しみなく』は
今も私の中に息づいている。
改めて初心に戻ることができた一日となった。
☆ ☆ ☆ ☆
当時の仲間たちの話から
原発事故の影響により
相馬の牧場は閉鎖された・・・と聞いた。
時の流れの中で
再び出会うことができないものもある。