校長室の窓から〜『富岳の眺め』 No.33
- 公開日
- 2018/09/09
- 更新日
- 2018/09/09
校長室より
第64回全国高等学校演劇大会。
今年は8月7日から3日間の日程で
長野県上田市を会場に開催された。
全国2100校から選ばれた12校。
プロの劇団レベルの笑いあり、涙ありの青春舞台。
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近畿ブロック代表 京都府立朱雀高等学校。
その高校には車椅子に乗った演劇部員がいる。
3年生の前田渉吾くん。
小学5年生の時に、筋力が徐々に衰えていく難病
筋ジストロフィーを発症。
中学生の頃は周囲からの
「車椅子に乗っているから出来ない」という偏見に苦しんだ。
将来、自分が全く動けなくなったら、という
タイムリミットが決められているような不安の日々の中で
彼は高校入学後、演劇の道を選んだ。
障害があっても挑戦できることを知ってもらいたいという
強い思いを込めて。
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朱雀高校演目『青春讃夏〜僕らの時間』
前田くんの実体験を基に、
演劇部員たちが練り上げた脚本。
舞台はある中学校。
文化祭で『銀河鉄道の夜』の上演を目指す演劇部。
そこに車椅子に乗った転校生が入部してくる。
キャストを希望する転校生。
キャストは無理と、スタッフを勧める部員たち。
葛藤の中、一人の部員の支えがきっかけとなり、
他の部員たちの気持ちに変化があらわれる。
劇中の前田くんのセリフ
「同じ目標を持った人と何かを成し遂げるんが夢やった。
いつ動けなくなるかもわからへんし。
今、本気で演劇に挑戦したい。みんなと一緒に。」
彼の心からの訴えに
会場は涙に包まれた。
上演後、肩を抱き合いながら
号泣する朱雀高校演劇部員たち。
その中に目を潤ませながらも
笑顔の前田くんの姿があった。
もう一つの甲子園がここにある。
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