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校長室の窓から〜『富岳の眺め』 No.37

公開日
2018/10/07
更新日
2018/10/07

校長室より

高校卒業後、親元を離れて上京
待望の一人暮らしが始まった。
全てが自分の思いのまま
自由を満喫(まんきつ)できる。

しかし、有頂天になっていたのも束の間
上京1ヶ月後には極度のホームシックに陥ってしまった。

きっかけは無計画な預金の引き出し。
気がつけば通帳の残高は1,500円
実家からの仕送りまで、まだ1週間もあった。

食費を切り詰めようと
外食を止めた。
下宿の隣部屋の先輩が譲(ゆず)ってくれた米四合と
大家さんから借りた古いお釜。
これで7日間を何とかしのごうと考えた。

生まれて初めての自炊。

米を炊こうにも水加減がよくわからない。
適当に水を入れ、米一合を炊いた。

 🍚    🍚    🍚    🍚

出来上がったご飯。

一口食べた途端、違和感があった。
ご飯に芯が残っていたのである。

それでも空腹に耐えられず
懸命に喉(のど)の奥へと水で流し込んだ。


なぜだか急に寂しさに襲われた。

三畳一間の小さな自分の部屋。

広い東京で孤独を味わった瞬間だった。


 🚃    🚃    🚃    🚃


それから3ヶ月後
大学が夏休みに入り、実家に帰省した。

たった4ヶ月程しか経っていないのに
故郷がとても懐かしく思えた。

車窓から見えた慣れ親しんだ風景に
目頭が熱くなったのを憶えている。


4ヶ月ぶりの親元での夕食。

その時初めて
家庭の味の有りがたさが
身にしみた。


移動教室で生徒たちの
うどん打ちと
カレーづくりを手伝いながら
18の頃の記憶がよみがえってきた。