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校長室の窓から〜『富岳の眺め』 No.38

公開日
2018/10/14
更新日
2018/10/14

校長室より

〜 坊や よい子だ ねんねしな 〜

連合移動教室、二日目の夜
生徒たちと『まんが日本昔ばなし』を観た。

市原悦子さんと
今は亡き常田冨士男さんの
素朴さの中にも 
味わいのある語り。

気がつけば、昔ばなしの世界に
魅(ひ)き込まれていた。

終映後
生徒たちが話している声が聞こえた。

「好きな昔ばなしは何?」

好きな昔ばなし・・・・
私は思いを巡らせた。

そして随分前に観た
悲しい昔ばなしを思い出した。

  🌉    🌉    🌉    🌉

昔、昔、一人のおじいさんが橋の下で暮らしていた。
六さん、と呼ばれるこのおじいさん
毎日橋のたもとに座って
通る人たちからお金をめぐんでもらっていた。

人づきあいもせず雨の日も雪の日も
道ばたで頭を下げ 
人々からほどこしを受けていた。

そんな六さんは村の人たちから
変わり者だと思われていた。


六さんには悲しい過去があった。
若かりし頃は、村の働き者として
妻や子どもたちと幸せに暮らしていた。

ある日、村が大雨に見舞われる。
川が氾濫(はんらん)し、木の橋が流され
六さんは愛する家族を全員奪われてしまった。

六さんは今も大雨が降ると
心配そうに橋を見つめていた。
木造の橋では危ない
しっかりとした橋を造らなければ、と。


突然、六さんの姿を見かけなくなった。
村人たちが探してみると
橋の下のあばら家で
既に冷たくなった六さんを見つける。

その亡骸(なきがら)の下から
壺に入った大金が出てくる。 
来る日も来る日も頭を下げて集めたお金。
壺の横には六さんの字で

「はしつくるかね」

と書かれた紙切れが置いてあった。

村の人たちは六さんの志(こころざし)を継ぎ
その後、橋は立派な石の橋に
造り替えられた。

今も板橋区の石神井川に架かるその橋は
六さんの物語にちなんで
「下頭橋(げとうばし)」と
呼ばれているそうな。


 〜 いいな、いいな
       にんげんっていいな 〜