校長室の窓から〜『富岳の眺め』 No.53
- 公開日
- 2019/01/20
- 更新日
- 2019/01/20
校長室より
早朝、駅の上りエスカレーターでのこと。
普段私は左側に立つようにしている。
その日はなぜか右側に並ぶ人たちも
歩かずに立ったままなのである。
ふと前方を見ると、
5〜6段先の右側に
腰のまがったお年寄りの男性が立っていた。
日頃右側を歩いて昇っている人たちも
前へ進もうにも進めずに
後方へ列をなして立っていたのだ。
🚷 🚷 🚷 🚷
昨年の12月から東京駅で
「エスカレーター歩かないで」キャンペーンが行われている。
右側歩行による衝突や転落事故の続発を受け、
試験的に「歩行禁止」を進めている。
日本ではイギリス・ロンドンに倣(なら)って
大阪万博(1970年)を機に「右側歩行」が推奨(すいしょう)された。
まさに" 右肩上がり "の経済成長の時代。
何事にも効率アップ、スピードアップが求められていた。
東京では1980年頃には「右側歩行」がほぼ定着したという。
今回の東京駅での取り組み、
ネット上でも賛否が入り乱れている。
私個人は・・・と言えば
比較的左側に立つことが多い。
それでも電車の乗り換え時間が短い時などは
右側歩行をすることがある。
賛否の立場を明らかにしろ、と言われれば
今回の東京駅の取り組みに「やや賛成」側か。
🇬🇧 🇬🇧 🇬🇧 🇬🇧
さて、早朝のエスカレーターでの話に戻る。
お年寄りの後ろに列をつくっている乗客たちからは
明らかなイライラ感が伝わってくる。
何人かは聞こえよがしに
「チェッ」と舌打ちまでし始めたのだ。
その時、遠い記憶の彼方(かなた)から
長らく忘れていたテレビCMの歌詞と旋律が
突然、私の頭の中に浮かんできた。
気楽に行こうよ 俺たちは〜
あせってみたって 同じこと
のんびり行こうよ 俺たちは〜
なんとかなるぜ 世の中は
随分(ずいぶん)昔のある石油会社のテレビCM。
奇(く)しくもこのCMソングがテレビに流れていたのは
エスカレーター「右側歩行」が推奨され始めた
1971年のことであった。