校長室の窓から〜『富岳の眺め』No.130
- 公開日
- 2020/07/11
- 更新日
- 2020/07/12
校長室より
No.130【コロンボとキャリア教育】
『刑事コロンボ』
私が小中学生の頃、
毎週欠かさず視ていたドラマ。
そして今また、再放送に熱中している。
ドラマのパターンは決まっている。
物語の冒頭で殺人事件が起きる。
犯人は最初からわかっているのだ。
完全犯罪を企(たくら)む犯人の前に
コロンボ刑事が現れる。
ボサボサの髪
よれよれのコート
オンボロの自動車に乗って。
犯人はコロンボの姿を見て安心する。
この男に解決できるわけがない、と。
しかし、そこからが見せ場なのだ。
コロンボは完璧なアリバイを
小さな綻(ほころ)びから
一つひとつ崩していく。
例えば、ある回でのシーン。
犯人のところに電話がかかる。
知り合いが殺害されたとの知らせ。
自分が事件を起こしていながら
驚く〈演技をする〉犯人。
しかし、犯人は驚きながらも
一方では卓上の時計の針を
無意識のうちに調整しているのだ。
コロンボはこの動きを見逃さない。
事件の知らせに驚き慌てる姿と
時計の時刻を合わせる冷静な行動。
人間心理に潜む思わぬ落とし穴を
コロンボが着実に揺さぶっていく。
🔍
どの回の犯人も
社会的高い地位にある人物。
有能な外科医であり、
著名な指揮者であり、
一流建築設計士であり、
人気の手品師なのだ。
コロンボの捜査手法は
その道のプロである犯人に対して
徹底的にその専門分野を
調べつくすことにある。
刑事には専門的なことはわからない、と
初めは余裕を見せていた犯人。
しかしコロンボはいつの間にか
本職顔負けの知識を身につけている。
コロンボの本当の凄(すご)さは
推理力もさることながら
観察力と調べつくす力なのだと
私は再放送を視ながら気づいた。
🔎
さて、今回のコラムのタイトルは
【コロンボとキャリア教育】
なぜ、私がこのタイトルにしたのか?
少し長くなるが
コロンボのセリフを引用して
このコラムを締めくくることにする。
世の中ってのは不思議ですね。
あたしゃどこ行っても秀才にばっかり出会ってね
学校でも頭のいい子は大勢いたし
軍隊へはじめて入ったときも
あそこにもおっそろしく頭のいいのがいましたよ
ああいうのが大勢いちゃあ
刑事になるのも容易じゃないって思ったもんです。
あたしゃ考えました
連中よりせっせと働いて
もっと時間をかけて、
本を読んで、
注意深くやりゃ、
モノになるんじゃないかってね……
(モノに)なりましたよ。
あたしゃこの仕事が心底好きなんです。