校長室の窓から〜『富岳の眺め』No.220
- 公開日
- 2022/03/12
- 更新日
- 2022/03/12
校長室より
No.220【橋を通って】
アヴィニョンの橋で
踊るよ 踊るよ
アヴィニョンの橋で
輪になって組んで
子どもが通る
大人も通る
フランス民謡
『アヴィニョンの橋で』
日本では童謡としても
お馴染みの歌でもある。
歌詞の中では
続けて橋を通るのは
職工さんや花屋さんなど
様々な職業の人たちである。
アヴィニョンとは
フランス南東部にある町。
町を流れるローヌ河に架けられた
「サン・ベネゼ橋」が歌の舞台。
12世紀に一人の羊飼いが
神の啓示を受けて建てた橋と
伝えられている。
その後、度重なる戦乱などによって
橋の大部分が崩壊してしまい、
今も修復されないままなのだ。
つまりアヴィニョンの橋は
歌の歌詞とは異なって
通行できない橋なのである。
🌉
橋とは向こう岸とこちら側を
結ぶ役割を果たしている。
場所によっては国と国とを結ぶ
国境の橋ともなっている。
国と国との関係が良好な時は
人々は橋を通って
頻繁(ひんぱん)に往来をする。
人と人とが交流し、
物と物とが交換される。
しかし国と国の関係が
ひとたび悪化してしまうと、
その橋は相手国が攻めてくる
侵入ルートと化してしまう。
そのため橋は破壊され、
人々の往来は遮断(しゃだん)される。
歴史を振り返ってみると
戦乱が起こるたびに
多くの橋が破壊されてきた。
通ることのできない
アヴィニョンの橋。
人々はいつの日にか
その橋を通って
向こう岸へと渡れるよう
願いを込めてこの歌を
歌ったのかもしれない。
アヴィニョンの橋の上では
子どもや大人だけではなく、
兵隊さんも通る、と歌われる。
そしてみんなで
輪になって組んで
共に踊るのである。
🇺🇦
今、ウクライナでは
ロシア軍が侵攻して
首都キエフへと迫っている。
首都キエフの近郊では
ロシア軍の侵攻を抑えるため
ほとんどの橋が破壊された。
残る橋にも既に爆薬が
仕掛けられているという。
人が通るために造られた橋が
人を通さないために
次々と姿を消している。