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生きた知恵

公開日
2022/04/22
更新日
2022/04/22

校長室より

私は、家にじっとしているのが苦手で、時間があると外出します。
そんな性分のため、私はこれまで40を超える国や地域を訪れました。
結婚する前は,バックパッカーと言って,寝袋を背負っていろいろな国や地域を、できるだけお金をかけないようにして旅行してきました。
25年前,私が一人でアイスランドを旅した時のこと。
首都レイキャビクで旅行情報を探して本屋に入ると,1冊だけ日本語の本が売られていました。
こんなところで<日本語の本>に出会うとは思ってもいなかったので,旅の本のことを忘れ,思わず買ってしまいました。。(Printed in Icelandでした。)
本のタイトルは<Hávamál>(ハウバマウル),日本語の副題は<オーディンの箴言(しんげん)>となっていました。箴言とは<いましめ>という意味で,<生活の中での格言>といったところでしょうか。
1200年以上前からの北欧の伝承詩で,北欧の人々の人間関係を円滑にするための知恵がちりばめられています。含蓄のある詩も多いので,3つほど紹介します。

○欠点
  心のねじれた 哀れな人は
  手あたり次第 誰でもあざける
  自分も欠点だらけの 人間なのだと
  知るべきなのに それがわからない
○孤独
  野原にひとりで立つ マツは枯れる
  樹皮も葉もそれを 守ってはくれない
  誰にも愛されない 人間も同じことだ
  どうして 長生きできよう
○友情
  よいか もしも信頼できる友をもち
  その者からよいことを 期待するなら
  友と心を通わせ 贈り物を交換し
  再々会いに行け

人間にとって幸せで価値のある人生をどうしたら送れるかという先人の知恵。
洞察力に富む英知,簡単で的確なユーモア,高貴な精神にあふれています。
令和の時代,この砧中で,生徒が,学習や部活動,行事,体験的活動などの様々な活動を通じて,自分なりの成長のための生きた知恵を,たくさん見つけ,増やしていけるよう願っています。
                     校長 大坂 崇