私と6月17日
- 公開日
- 2022/06/15
- 更新日
- 2022/06/15
校長室より
今日、朝礼がありました。
6月は「ふれあい月間」ということもあり、私からいじめやからかいについて、私の経験を交えて生徒にお話をしました。
その概要を紹介します。
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あさって6月17日は、A君にとって忘れられない日です。
A君は中学1年の時、6月17日の午後、放送で職員室に呼ばれました。
職員室に行ったA君は、校長先生から「君の家が火事です、すぐ帰りなさい」と伝えられました。
家に帰ると、家が半分無く、隣の家は全焼。隣の家の火事が燃え移ったのでした。
A君は、その後3日間、お母さんのお友達の家に泊まりました。
火事の「片付け」で、A君のワイシャツは灰や炭で汚れましたが、着替えがなく、洗濯もできないので、汚れたワイシャツを着て、3日間学校に行きました。
クラスの多くの人は「大丈夫?」「大変だね」と温かく声をかけてくれました。
数日後、A君は複数の男子から「日頃の行いが悪いからだ」とからかわれました。
次の日、そのメンバーに囲まれ、「お前汚ねえな」とネチネチ何度も言われました。
からかい・いじりは、様々な形で1年以上続きました。
望んで火事になったわけではない。服が汚いのも、洗濯ができなかったから。
火事でさえ不幸なのに、からかわれ、いじられる。
なんで自分だけ、こんな目に合うのか、A君はそう感じました。
幸い、A君は数学が大好きでした。
数学の問題を考えていると、嫌なことを忘れられました。時間を忘れて没頭しました。
学年が上がると、クラスの人から「数学のわからないところを教えて」と声をかけられるようになり、A君は自分に自信が持てるようになりました。
おかげで、自分を見失うことはありませんでした。
最終的にA君は、中学1年の時の担任の先生に憧れ、「数学の先生」になりました。
その火事から48年、A君は皆さんの前で、今この話をしています。
48年もたつのに、からかった人の顔は鮮明に覚えています。
あの時、死ぬと楽になるかなと、一瞬考えた日があったのも覚えています。
今は、あれはいじめだった、と思っています。
からかう、いじる、けなす、いじめる、する方は一瞬です。
された方は、笑っていたり、黙っていたり、反論しないことも多いものです。
でも、された方は確実に覚えていて、長い間恨みや心の傷を持ち続けます。
万一、からかいやいじめを受けた人の心が折れて、学校に来られなくなったり、命を絶ってしまったら、した人は、その人の人生を奪ったり、変えてしまうのです。
いじめ・からかいは、「人として許されない行為」「人の一生を変えるほどの犯罪行為」です。
今、つらい思いをしている人がいたら、一生は続かないと考えて、好きなことを見つけ、熱中し、自分を見失わないこと。そして、自分が話せる大人に、必ず相談してください。
人をからかったり、いじったり、いじめたりする人は、今すぐそういう行為をやめること。人間性が疑われたり、人としての評価を下げるだけです。
卒業後に同窓会をしても、あいつが来るなら行きたくない、と、学年やクラスのまとまりを未来にわたって崩すことにもつながります。
6月17日は、私にとって忘れられない日。
皆さんに、人との関わりについて真剣に考えてほしい、今日はそんな思いでお話をしました。
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今回、全生徒を3年ぶりに体育館に集めての全校朝礼でした。
私は、マイクなしで話をしましたが、生徒はみな真剣に聞いていました。
どの生徒にとっても、卒業する時に「良かった」と思える砧中でありたい、そんなメッセージを込めたつもりです・・・。
校長 大坂 崇