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義務教育の修了に目を向けて 1

公開日
2022/08/01
更新日
2022/08/01

校長室より

 保護者の皆様、先日は、暑い中、教育相談にご来校いただき、ありがとうございました。
 教育相談はその時点の「点」ではなく、中学校卒業までの「線」上にあります。
 私たち砧中の教員は、そのような視点で、今回の教育相談に臨ませていただきました。
 今後とも、よろしくおねがいいたします。

 さて、話は変わりますが、東京都の高校中退者の数は年間約4500人、全国では年間約3万5000人にのぼり、その大半は高校1年生です。
 中途退学の主な理由は(H26年度)・・・
   ・学校生活・学業不適応 34.9%
   ・進路変更 34.8%
   ・経済的理由 2.3%
 退学の主な要因になっているのは、高校生活の中身です。
 高校進学の時点で目的を持たない(または、あいまいな)まま、適性とは無関係に成績だけで決めてきた生徒の中途退学の割合が多いのは見過ごせない事実です。
 15歳の春に訪れる高校受験や進路の選択。
成長し自立を目指そうとするとき、その選択は1つの試練になります。
その試練を乗り越えた後も、生きていくための課題は残ります。
 自分が目標・目的をもって、自らの進路を切り開く力、生き抜く力をどうつけていくか。
 「みんな高校に行こうとしているけど、本気で高校に行きたいと思ってる人、どの位いるのかなぁ」。
これは、入試前の校長との面接練習の後、前任校の生徒がふと漏らした一言です。
 「なぜ高校に行くのか」「なぜその高校でなければいけないのか」ときかれて返答に困ったり、「みんなが行くから」と答えるのでは、「自分で進路選択した」という自信が持てません。
 「まず高校に入って、高校生活の意味を見つけだす」場合もありますが、私のこれまでの経験では、高校に「入る」ことより「入ってから」の方が大切だと思います。
 「高校に入ってからどう過ごすか・・・」。
 「入ること」ばかりに意識があると、人生そのものではなく高校という「器」ばかりに目が行き、人生の真の価値をつい忘れがちです。
 高校などの上級学校への入学は、決して終点ではなく、人生の新しい出発点です。
 この意識が、中学校卒業後の自分の行動を決めると思うのです。
 だから、ある「器」に入ればもう終わり、人生が決まった、と考えてほしくないのです。
 中学校卒業だけでなく、そこから先の生き方を考えて、目標を持たせたい。
 本校でのキャリア教育で、重要なことだと思っています。
 それが、砧中学校での3年間だけでなく、これからの人生のふんばりの力強い土台にきっとなる、そう思うのです。

                        校長  大坂 崇

*校長室だよりは、教員の「授業」についての学びのシリーズです。
 ☆校長室だより24