1年間の総括の時期に入って
- 公開日
- 2023/02/20
- 更新日
- 2023/02/20
校長室より
明日は都立入試。
学校の方も、学年末考査が始まります。
いよいよ、学校も1年間の総括の時期に入ります。
さて、話は変わりますが、今から40年以上前、私が大学生の頃のこと。
故川谷拓三氏(俳優)の歌った曲(題名も忘れてしまいました)に、大変心を引かれたのを覚えています。
カセットテープ(中学生の皆さんにはわからないかもしれませんが音楽や音声を録音・再生するものです)に録音して繰り返し聞いたものです。
歌詞はこう始まります。
<いつまでも友だちでいようとか
大切な思い出を作ろうとか
そんなきれいごと言う前に
誰か一人の為に戦ったことがあるか
またいつか会える日があるとか
幸せは必ずやってくるとか
自分の手をよごすこともなく
借りてきた理屈で何を語るのか ・・・>
その頃いろいろなことに悩んでいた私は、この歌に非常に強い衝撃を受けました。
自分はいつも「きれいごと」を並べて生きてきたのではないか、本気で誰かのために何かをしたことがあったか、人とのつきあいを損得感情で考えていなかったか。
誤解しないでいただきたいのですが、歌詞は「いい友だちでいてはいけない」「大切な思い出を作ってはいけない」「幸せは必ずやってくるなんて楽観視してはいけない」と言っているのではありません。
「いい友だちでいるために、どのくらい友人のために真剣になれたか」「(人と)大切な思い出を作るためにどんなことをしたか」「幸せをつかむために、どの位どんな努力をしたか」、そう問いかけているのです。
人は一人では生きていけません。誰かに『依存』しなければ生きていけません。
でも、人に依存してばかりではいけない、とも思います。
人を頼ることもありますが、自分で道を切り拓ける『独立』した「自己」の存在を確立することが大切だと感じています。
『依存』(共存)と『独立』(自立)のバランス。
私が中学生の時にも、先生や親、その他の大人からよく『自立』とよく言われました。
人に『依存』してばかりでは『自立』と言えません。
また、自分のことばかり考えて行動しているのは「我がまま」や「我見」で、これも『自立』と言えません。
他の人から『自立』した個を確立しつつ、バランス良く他の人と『共存』する人間関係を築くこと。これがこれからの時代に、求められています。
ただ、そこにはメタ認知(俯瞰的な自分の言動の認知)が必要です。
メタ認知が無いと「自分は他者と共存している、自立している」つもりでも、他人から見ると「そうではない」、とズレが生じる場合があるからです。
残りわずかの今の学年での生活。
砧中生には『共存』と『自立』のバランスと同時に、メタ認知の『力』をこの砧中で大きく伸ばしてほしい、と感じています。
そのことが、将来の「自主・自律」「協働・共生」「創造・挑戦」に繋がっていくと思うからです。
校長 大坂 崇
☆校長室だより56